日本口蓋裂学会雑誌
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原著
新潟大学医歯学総合病院においてPNAM治療を行った片側口唇口蓋裂患児における外鼻形態変化の短期的評価
市川 佳弥丹原 惇朝日藤 寿一宮田 昌幸親松 宏児玉 泰光新美 奏恵髙木 律男小林 正治齋藤 功
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2019 年 44 巻 3 号 p. 182-191

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抄録
本研究の目的は,術前鼻歯槽形成(以下,PNAM)治療による外鼻形態への短期的効果を明らかにすることである。今回,我々はPNAM治療開始時から口唇形成術後約6ヶ月まで経時的に評価を行ったので報告する。
対象は新潟大学医歯学総合病院(以下,当院)にて出生時から治療管理を開始した片側口唇口蓋裂患者17例のうちPNAM治療を行った12例(男児6例,女児6例)をPNAM群とし,PNAM治療を行っていない5例(男児2例,女児3例)をnon-PNAM群とした。
資料として,正面および鼻孔位にて,初回資料採得時(T1)および口唇形成直前(T2),口唇形成後(T3)の3時点で撮影した顔面写真を用いた。6つの計測項目を設定し,両群間におけるT1,T2,T3での平均値,およびT1-T2,T2-T3での変化量について統計学的に比較検討した。
T1では,PNAM群とnon-PNAM群において全項目で有意な差を認めなかった。T2では,non-PNAM群に対しPNAM群で鼻尖傾斜角,鼻柱傾斜角が有意に小さな値を,患側鼻孔上縁角が有意に大きな値を示した。これに対し,T3では,正面鼻翼基部傾斜角においてのみ,PNAM群が有意に小さな値を示した。T1-T2およびT2-T3における変化では,PNAM群でT1-T2,T2-T3の両方で有意な変化が認められたのに対し,non-PNAM群ではおもにT2-T3において有意な変化が示され,T1-T2では有意な変化は認めなかった。これはnon-PNAM群では術前の外鼻変形の大半を口唇形成術のみによって改善していることを意味していると考えられた。
以上のことから,当院におけるPNAM治療は術前における鼻翼基部の偏位の改善に寄与していた。しかし,術後における外鼻形態への影響は認められず,PNAM治療の効果について検討を行うためには今後さらなる検討が必要と考えられた。
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© 2019 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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