日本口蓋裂学会雑誌
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原著
口唇口蓋裂患者のQOLを含めた患者報告アウトカムを計測する質問紙「CLEFT-Q」日本語版の作成
彦坂 信金子 剛馬場 祥行佐藤 裕子
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2021 年 46 巻 1 号 p. 11-17

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抄録
【緒言】口唇口蓋裂では,整容,言語,咬合・顎発育,心理社会面など多彩な訴えを呈する。従来のアウトカム指標は写真や咬合模型に基づくなど,医療提供者の視点からのものであった。一方,満足度や生活の質(QOL)を含む患者自身による主観的な評価である患者報告アウトカムに関しては,多彩な訴えを網羅する質問紙が無く,十分には把握されていなかった。特に心理・社会面に関しては,適切な指標が乏しいために包括的・全人的な評価が困難であった。
CLEFT-Qは,2013年にWong Kらにより発表された,口唇口蓋裂の患者報告アウトカムを点数化する質問紙であり,多彩な症状を網羅する。複数の言語の翻訳版が完成し運用されており,患者の訴えに着目する評価は国際的な主流となりつつある。
【目的】本研究では,CLEFT-Qの翻訳と言語的妥当性評価を行い日本語版を作成したので,その結果を紹介する。
【方法・結果】妥当性・信頼性を担保するため,ガイドラインに従った方法で翻訳・言語的妥当性評価を行った。翻訳過程では,2名の独立した翻訳者により2つの日本語版を作成し,これらを統合して日本語統合版を作成した。その後に別の翻訳者により逆翻訳・英語版を作成して原作者と協議し,日本語暫定版を作成した。言語的妥当性評価では,5名の唇顎口蓋裂患者を対象にパイロットスタディを施行し,その意見をもとに原作者と協議のうえ,日本語版を完成させた。
【考察】今後はCLEFT-Q日本語版を臨床現場で利用可能なツールとして確立するため,妥当性・信頼性評価を行う計画である。CLEFT-Qの導入により,従来の身体・機能面に重きを置いた医療提供者の視点からの評価に加え,心理・社会面を含めた患者視点からの評価が可能となり,より包括的・全人的なケアが可能になると考えられる。具体的な利用例としては,患者の意思決定を支援する,治療の有効性を評価するなどの用途が考えられる。
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© 2021 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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