抄録
本研究の目的は,小学校教諭の口唇裂・口蓋裂(以下,CLPとする)の認識と教諭がCLPのある子どもを指導する上で困難に感じていたことを明らかにすることである。
2017年9月〜2018年1月に,公立小学校教諭6,000名を対象に,自記式質問紙調査を行った。CLPの認識は記述統計を算出した。教諭がCLPのある子どもを指導する上で困難に感じていたことについては,Berelsonの内容分析を参考に質的分析を行った。本研究は所属大学の倫理委員会の承認を得て行った。
412名から回答が得られ,不備の多いものを除く405名を有効回答とした。教諭の年齢は平均47.2 (SD=8.9) 歳で,経験年数は平均23.3 (SD=9.7) 年であった。
教諭はCLPという病気については,遺伝的要因や環境的要因などが複雑に絡み合って発生する病気という正しいイメージをもち,予後も良いと捉えている一方で,CLPのある子どもは外見に悩むと捉えていた。
CLPのある子どもの学校生活における心配事については,教諭はCLPのある子どもが外見や友人関係についての心配事と言葉に関する心配事を抱えていると捉えていた。
実際にCLPのある子どもを受け持った教諭は【不明瞭な発音から生じる問題】【からかい・いじめへの対応】【自己肯定感の育成】【他の子どもへの疾患説明】【CLPのある子どもの保護者への対応】【水泳時の配慮】【CLPのある子どもの精神的フォロー】【CLPのある子どもの疾患に関する理解度の確認】【教職員間の共通理解】【CLPに対する戸惑い】を指導上の困難であると捉えていたことが明らかとなった。
以上の結果から,親と教諭が教科指導上の注意事項だけでなく,CLPのある子どもの疾患の理解状況や他児への対応についても共通理解を図ることが重要であると考える。