日本口蓋裂学会雑誌
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口唇,口蓋裂発生に関する実験的研究
第6報:加齢A/J系マウスの口唇・口蓋裂発現と母獣の示す性周期延長の関連について
三浦 茂樹夏目 長門杉本 修一堀内 隆作中村 友保加納 欣徳藤原 浩稲垣 鐘司生川 哲也河合 幹
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1990 年 15 巻 2 号 p. 122-131

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抄録
AIJ系マウスにおける自然発現口唇,口蓋裂に対しestradiol投与がおよぼす影響について検討し,以下の結果を得た.
1. 妊娠8日目,9日目における5μg/kg,12.5μg/kg,25μg/kgのestradiol投与により口唇裂を伴わない口蓋裂(以下CP)発現率の有意な低下が認められた.このうち妊娠8日目の5μg/kg,25μg/kgおよび妊娠9日目の25μg/kgのestradiol投与においては口唇裂を伴う口蓋裂(以下CLP)発現率の有意な低下も同時に認められた.
2. 上記の投与条件のうち,妊娠8日目,9日目の5μg/kg,12.5μg/kgのestradiol投与においては胎仔死亡率の有意な上昇は認められなかった.
3.以上の結果より,A/J系マウスにおける口唇,口蓋裂自然発現はestradiolの投与により抑制されることが確認され,これは同奇形を有する胎仔の選択的致死作用とは別の機序による可能性が示唆された.
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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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