2018 年 74 巻 7 号 p. III_27-III_34
流域における水・物質・エネルギー循環拠点としての「資源回収型下水処理場」の実現に向けて,流域の中流に位置するK市の日本でも有数の処理規模である中核処理場を対象にポテンシャル(回収可能性)を試算した.エネルギー回収では,3ヶ所からの受入汚泥や余剰汚泥の可溶化で発電量は51,760 kWh/日まで増加し,電力自給率は28.8 %が期待された.リン回収では,受入汚泥や余剰汚泥も対象とすると脱水ろ液からの回収量が約800 kg/日と多くなり,リン回収率は5割を超えていた. 高度処理化では,対象とした4系のみならず処理場全体でも放流水質の向上が見られ,電力原単位も低下する傾向が見られた.水・物質・エネルギー回収機能を水環境効率で評価すると,現状の2.68 kg/kWhが「資源循環型下水処理場」を実現することで4 kg/kWhまで向上すると期待された.