日本口蓋裂学会雑誌
Online ISSN : 2186-5701
Print ISSN : 0386-5185
ISSN-L : 0386-5185
当院での口唇口蓋裂患者の合併奇形について
過去十一年間における統計
大原 鐘敏吉川 厚重宇佐美 泰徳大久保 文雄三沢 正男岡崎 恵子
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 17 巻 2 号 p. 148-154

詳細
抄録
口唇口蓋裂に合併奇形を伴うことは臨床上しばしば経験する.その合併率に関しては数々の論文で報告されている.低いもので2~3%から高いもので30数%と様々である.これは対象が新生児であったり,治療を目的とした患児であったりすること,また奇形とする基準が違ったりするために,数値が一定しないものと思われる.
われわれは1980年1.月より1990年12月までの11年間に来院された口唇裂・口蓋裂患者計1267例を対象に,診察や手術治療の際に認められた外表だけでなく,内臓系も含めての奇形について調査・集計した.
結果は以下の如くである.
1.頭蓋,顔面・躯斡,四肢,内臓系,および精神発達遅延を含めた合併奇形は353例で,全体の27.9%に見られた.これは今まで報告された中では比較的高い部類に属する.
2.裂型別では高い方より口蓋裂,口唇口蓋裂,口唇裂の順であり,今までの報告と同じ順である.
3.観察された奇形のうち,先天性心奇形が最も多く,次いで精神発達遅滞,Pierre-Robin症候群,膀ヘルニア,耳介奇形,四肢奇形,陰嚢水腫,ソケイヘルニアなどであった.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
前の記事 次の記事
feedback
Top