日本口蓋裂学会雑誌
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当院におけるFurlow法による口蓋形成術後の言語成績
北野 市子朴 修三加藤 光剛高戸 毅
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1994 年 19 巻 1 号 p. 16-21

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抄録
静岡県立こども病院において施行したFurlow法による口蓋形成術後の4歳時の言語成績とCephalogramを,pushback症例と比較し検討を加えた。その結果,
1.鼻咽腔閉鎖機能の改善および言語成績については,pushback症例とほぼ同様の結果であった。
2.Cephalogram分析では,軟口蓋裂症例で硬口蓋長がpushback症例に比べて有意に長かった。
3.同じく軟口蓋長は,Furlow法症例の方が有意に短かった。
4.軟口蓋の厚みはFurlow法症例の方が厚い傾向にあった。
以上から,本法は,硬口蓋に侵襲を加えない術式として,症例を選んで実施することが有効であると考えられた。特に軟口蓋裂症例への適応は顎発育の点から有用であると考えられた。しかし,軟口蓋の延長効果に関しては,pushback法に劣る傾向があり,一旦得られた鼻咽腔閉鎖機能が持続するかどうか,長期にわたる経過観察が必要と思われた。
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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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