日本口蓋裂学会雑誌
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UVP変法による軟口蓋咽頭弁複合体基部の安定性の検討
佐藤 耕一和田 健舘村 卓原 久永迫田 隅男芝 良祐
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1998 年 23 巻 4 号 p. 336-341

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抄録

UVP変法による咽頭弁移植術後の軟口蓋咽頭弁基部の垂直的位置と厚さの変化を検討するために,11名の口蓋裂術後患者の側面頭部X線規格写真について検討した。被験者は全て咽頭弁移植術前には発音補正装置の装着下に良好な鼻咽腔閉鎖機能と構音を獲得した症例であり,10歳以後にUVP変法による咽頭弁移植術を施行した症例である。側面頭部X線規格写真を術後1年毎に3年間撮影し,軟口蓋咽頭弁複合体基部に設定した計測点をディジタイザーを用いて計測した。その結果,軟口蓋咽頭弁複合体基部の垂直的位置と厚さは術後1年の問に変化を示すものの,以後は口蓋平面に対して安定した垂直的位置と厚さを維持していることが示された。本研究の結果から,軟口蓋咽頭弁複合体基部は口蓋平面の高さに一致して設定される必要があること,UVP変法は機能的に安定した軟口蓋咽頭弁複合体を付与する有効な咽頭弁移植術であることが示された。

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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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