抄録
口蓋裂術後患児によくみられる誤り音を音声サンプルに用いた聴取判定検査から,口蓋裂患児群(32例)での語音の弁別・同定,各誤り音相互間での弁別難度を評価し,健常児群(10例)および健常者群(10例)のそれと比較した結果は以下の通りであった.
1.誤り音サンプルに対する語音の弁別能力(弁別・同定)は口蓋裂患児群,健常児群,健常者群の相互間で特に差異はないことが明らかになった.
2.各誤り音についての相互評価では,側音化構音は弁別難度が高く,口蓋化構音がこれに次ぎ,声門破裂音および鼻咽腔構音などは低い順にあった.
3.口蓋裂患児群における声門破裂音,鼻咽腔構音,口蓋化構音などの単独発現症例はそれぞれ当該する異常構二音に対し高い同定正聴率を示した.