日本口蓋裂学会雑誌
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片側唇顎裂の術前顎矯正による歯槽形態変化
平川 崇山本 康長西 裕樹牧野 太郎小林 眞司鳥飼 勝行
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2006 年 31 巻 3 号 p. 302-312

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抄録

神奈川県立こども医療センター形成外科を受診した片側唇顎裂患者5名の術前顎矯正による歯槽形態変化について報告する.
術前顎矯正には顎裂部を埋める加工を施した上顎歯槽模型上で製作した硬性レジン製の口蓋床型装置を用いた.床装置の安定には義歯安定剤あるいはcheek strapを用いた.治療期間は平均で生後22日から102日の80日間であった.
治療全例で顎裂部の狭小化が観察された.両セグメント断端の上方(頭側)偏位は改善された.メジャーセグメントは解剖学的形態に近い弓型に誘導され,マイナーセグメント裂側断端は唇側に誘導されていた.
治療を行わなかった一例においては変形が維持され顎裂幅は減少していなかった.
本法により初回口唇形成手術時GPP実施に有利な歯槽形態が獲得されることが示された.

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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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