日本口蓋裂学会雑誌
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口蓋帆挙筋の機械的収縮特性に関する研究
井上 一男松矢 篤三西尾 順太郎浜村 康司伊吹 薫後藤 友信古郷 幹彦宮崎 正
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1982 年 7 巻 2 号 p. 148-154

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抄録

鼻咽腔閉鎖の主役を担う口蓋帆挙筋の機械的収縮特性を解明する目的で, イヌを用い口蓋帆挙筋を生体筋の状態で露出する方法を確立し, 電気刺激を加える事により生ずる機械的, 物理的変化を測定分析する事により以下の結果を得た.
1)口蓋帆挙筋の筋長を最大単収縮高の得られる長さ(L.)に設定し, 極大上刺激にて等尺性単収縮を誘発させると, そのcontraction timeは43msec,half relaxationtimeは33msecであった.
2)発生張力は, 刺激頻度が15Hzを越えると単収縮の加重が起こり, 70Hzで最大となりtetanus twitch tensionratioは5.7を示した.
3)最大単収縮高の得られる筋長の前後±2mmの範囲で他動的に筋長を変化させ, 等尺性単収縮並びに等尺性強縮を誘発させた.筋を伸長させるに従い, 等尺性単収縮のcontraction time及びhalf relaxation timeはわずかに延長する傾向を示した.単収縮張力は筋長をLoより伸長あるいは短縮させる事により低下し, その傾向はL.を中心にほぼ対称であった.強縮張力に関しても, 筋長がLoで最大となり筋長をLoより伸長あるいは短縮させる事により張力は低下した.又Lo±2mmの範囲でtetanus twitch tension ratioは一定の値を示した.

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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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