抄録
当教室において, 平均年齢2歳時に口蓋形成術を受けた103例について, 術後の言語成績を6~7歳時に調査し, 4~5歳時の成績と比較した.
4~5歳時の正常言語例は, 全体の83.5%を占めたが, 6~7歳時では92.2%であった.この言語成績の改善は, 4~5歳時に言語障害を認め, 言語治療を行った17例中, 当時すでに鼻咽腔閉鎖機能が良好であった10例が構音治療の結果, 正常言語になったことによる.残る7例の言語障害例においても6~7歳時には, 4~5歳時に比較して鼻咽腔閉鎖機能と言語の両面において, かなりの改善が認められたが, これらの症例のなかには, 咽頭扁桃の肥大が著明なものがあり, これが鼻咽腔閉鎖機能の改善に寄与している可能性が考えられた.
また正常言語例のなかにも, short palateでありながら口蓋あるいは咽頭扁桃の肥大が鼻咽腔閉鎖機能を助成している可能性もあると思われる所見を示す症例がみられ, 今後の経過観察が必要であると考えられた.