2022 年 11 巻 1 号 p. 21-29
臨床美術は過去の災害においても,真摯に被災者に寄り添いながら支援活動を行ってきた実績を有している。多発する災害地の現状は様々であり,コロナ禍では支援が長期化し,現状に則した支援体制の構築は大切である。また支援するボランティアも同じ被災者であることも多く,ボランティアを担う人々に対する活動を後押しする何らかの支援が重要となっている。
本論では,東日本台風の被害を受けた宮城県伊具郡丸森町で行われた「町民ボランティアスキルアップ講座」で実施した臨床美術講座が,ボランティアを担う人々の意欲の向上と活動の継続性に繋がり,今後同様の危機的状況が発生した時の事例として報告すると共に汎用しうる講座内容である事を検証していく。