本稿では,認知症のアートセラピーの発展に向けて,認知症のアートセラピーとエビデンスを報告する。まず,認知症のアートセラピーのメカニズムを述べた。次に認知症のアートセラピーのコクラン・ライブラリーの結果を述べた。メカニズムからアートセラピーの基本となるものは,パーソン・センタード・ケアとウェルビーングの向上であった。コクランによる認知症のアートセラピーのエビデンスの質は「非常に低い」であった。認知症のアートセラピーでは,無作為化比較試験(RCT)は方法論的に限界がありエビデンスの検証が困難であるため,観察研究やナラティブなアプローチの視点に変えることで,エビデンスを補強できる。