臨床神経学
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症例報告
左内側後頭頭頂葉病変で発症したpoststroke dementiaの1例
李 久美前田 由布紀新谷 有里松浦 真実山口 勝也高山 吉弘
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2008 年 48 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

左内側後頭頭頂葉病変で発症したpoststroke Dementiaの症例を報告する.患者は73歳の男性で,急性硬膜下出血で2回血腫ドレナージ術を受けた直後,皮質下出血を発症しいちじるしい認知症になった.患者は中等度の知能低下,いちじるしい記銘力障害,地誌的失見当識,遂行機能障害,自己認識(self-awareness)の障害のため,それまで通りの自立した生活が送れなくなった.これら認知障害は,発症から3年間で進行しなかった.頭部MRIでは大脳実質や海馬に小病変の散在をみとめたが,視床に病変はなく前頭葉や内側側頭葉のいちじるしい萎縮はなかった.本例は左内側後頭頭頂葉の認知機能における重要な役割を示唆している.

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© 2008 日本神経学会
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