2009 年 49 巻 4 号 p. 191-193
症例は右特発性三叉神経痛の21歳の男性である.カルバマゼピン(CBZ)の内服開始後にすみやかに痛みは軽減したが,急激に血圧が上昇し,意識障害を発症した.頭部MRIで両側の後頭葉,頭頂葉および前頭葉に血管原性浮腫をみとめ,高血圧にともなうreversible posterior leukoencephalopathy syndrome(RPLS)と診断した.降圧療法およびステロイド投与で意識障害は改善したが,降圧剤への反応は不十分であり,CBZ内服中止にて血圧は正常化した.CBZ単剤で高血圧をきたした報告はまれであり,これまでにRPLSをおこした報告例はないが,血圧上昇の原因薬剤としてCBZも考慮する必要がある.