症例は53歳女性で35歳頃より外陰部潰瘍,口腔内アフタと毛のう炎様皮疹をくりかえしていた.頭痛と右片麻痺が出現し,頭部MRIにて基底核,脳幹,大脳白質にかけて異常信号をみとめた.臨床診断基準より不全型神経Behçet病と診断されたが,HLAはB54,Cw1が陽性で,神経Sweet病との鑑別が困難であった.しかし,経過中に下腿前面に結節性紅斑が出現し,その肉眼所見と病理組織所見よりBehçet病と確定診断した.神経Behçet病と神経Sweet病は類似した臨床症状を呈することが多く,HLA-typingのみによる診断は困難であり,両疾患の鑑別に皮膚症状が重要であると考えられた.