臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
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原著
rt-PA静注療法施行症例におけるスタチンの頭蓋内出血および転帰におよぼす影響―Stroke Acute Management with Urgent Risk-factor Assessment and Improvement(SAMURAI)rt-PA Registry―
牧原 典子岡田 靖古賀 政利塩川 芳昭中川原 譲二古井 英介木村 和美山上 宏長谷川 泰弘苅尾 七臣奥田 聡永沼 雅基豊田 一則
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2010 年 50 巻 4 号 p. 225-231

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抄録

目的:スタチンの発症前ないし急性期服用が,脳梗塞患者におけるrt-PA静注療法後の頭蓋内出血や転帰に与える影響について検討した.方法:SAMURAI rt-PA Registry参加10施設で,rt-PA静注療法を受けた脳梗塞患者連続600例を対象に後ろ向きに調査した.結果:発症前に67例(11.2%)が,急性期に60例(10.0%)がスタチンを服用した.頭蓋内出血を119例(19.8%)に合併し,スタチンの発症前服用との関連はみられなかった(OR 1.46;95%CI 0.76~2.81).3カ月後の完全自立患者(mRS≤1)は199例(発症前mRS≤1の535例中37.2%)で,スタチンの発症前・急性期服用との関連はみられなかった(OR 1.05;95%CI 0.55~2.01),(OR 1.31;95%CI 0.66~2.59).結論:rt-PA静注療法施行症例でスタチンによる頭蓋内出血や転帰への影響はみとめられなかった.

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© 2010 日本神経学会
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