臨床神経学
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症例報告
インフリキシマブ治療中にEpstein-Barrウイルス再活性化にともなって急性散在性脳脊髄炎を発症した1例
上田 麻紀立石 貴久重藤 寛史山崎 亮大八木 保政吉良 潤一
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2010 年 50 巻 7 号 p. 461-466

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抄録

症例は31歳女性である.クローン病に対してインフリキシマブ投与開始11カ月後に無菌性髄膜炎を発症し一時軽快したが,その後に体幹失調や球麻痺が出現した.髄液検査では単核球優位の細胞数増多,ミエリン塩基性蛋白とIgG indexが上昇しており血清のEpstein-Barrウイルス(EBV)抗体は既感染パターンを示し,髄液・血液PCRにてEBV-DNAを検出した.MRIにて脳幹,大脳皮質下白質,頸髄に散在性にT2高信号病変をみとめ急性散在性脳脊髄炎(ADEM)と診断した.各種免疫治療に抵抗性であったが,ステロイドパルス療法を反復し症状は改善した.抗TNF-α抗体製剤の副作用による脱髄が報告されているが,本症例は抗TNF-α抗体製剤投与中のEBV再活性化によって惹起されたADEMと考えられた.

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© 2010 日本神経学会
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