臨床神経学
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症例報告
慢性経過の脳実質障害症候のみを呈した結核性頭蓋硬膜炎
杉田 俊寿加藤 大貴林 大吾大中 洋平中島 雅士河村 満
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2011 年 51 巻 4 号 p. 267-270

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抄録

症例は約6カ月の経過で進行した不安定歩行,構音障害,書字障害を呈する59歳男性である.軽度の脳脊髄液細胞増多と,頭蓋冠と後頭蓋窩内面の硬膜に限局するMRI造影効果をみとめた.末梢血をもちいたinterferon-gamma release assay陽性から結核感染をうたがい,くりかえし施行したPCRで脳脊髄液中に結核菌ゲノムが検出された.抗結核薬とステロイド投与にて症状は軽快し,硬膜造影効果も消褪した.本症例の特徴は,頭蓋硬膜炎において通常みられる頭痛や脳神経麻痺を欠き,脳実質障害のみを呈した点にあり,脳実質障害の病態機序は,結核性頭蓋硬膜炎にともなう反応性・非増殖性の脳軟膜・くも膜炎によるものと考えられる.

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© 2011 日本神経学会
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