2011 年 51 巻 6 号 p. 406-411
TIA連続105例をTOAST分類に準じて分類した.ラクナTIAの定義は,塞栓源性心疾患や主幹動脈狭窄をみとめない例で,画像上穿通枝梗塞をみとめた例または症候として皮質症状がなく,一側の顔面・上肢・下肢のうち2カ所以上の運動あるいは感覚障害を呈した例とした.分類の結果ラクナTIAは31%ともっとも多く,心原性TIA 27%,アテローム血栓性TIA 19%と続いた.ラクナTIAは入院時血圧が高値で,TIAをくりかえす特徴があった.105例中6例で入院中に脳梗塞を発症し,3例がラクナTIAの例であった.ラクナTIAは本邦では少なくない病態で,脳梗塞へ進展する例も存在することから,その早期診断は重要と考えられた.