臨床神経学
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短報
pandemic(H1N1)2009インフルエンザ脳症の1成人例
梅村 想山崎 正禎高橋 雄松本 勝久宮村 正典
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2011 年 51 巻 6 号 p. 422-425

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抄録

症例は40歳男性である.高熱が持続し5日後に意識障害,痙攣重積をきたした.インフルエンザ抗原検査は陰性であったが,RT-PCR法による咽頭ぬぐい液のpandemic(H1N1)2009インフルエンザ(A[H1N1]pdm)が陽性であったため,A(H1N1)pdm脳症と診断した.経過中にMRIで出現した右視床および大脳皮質に散在する異常信号域は症状の改善とともに消失し,また当初みられた血清/髄液中のインターロイキン6高値も減少した.A(H1N1)pdmは健康な成人でも脳症を発症する危険性があること,およびインフルエンザ抗原検査は精度に限界があることに留意すべきである.

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© 2011 日本神経学会
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