2011 年 51 巻 8 号 p. 590-594
症例は57歳男性である.56歳時から小歩,突進歩行,易転倒性,ものわすれが出現.入院時,不安定な広基性歩行,動作緩慢,後方への姿勢反射障害をみとめた.MMSEは27/30点.失禁なし.頭部MRIで第三脳室・側脳室の拡大をみとめたが,第四脳室は正常,Fast imaging employing steady state acquisition画像で中脳水道に膜様の隔壁をみとめた.以上より,晩発性膜性中脳水道閉塞症と診断した.神経内視鏡で中脳水道形成術と第三脳室底開窓術を施行し,術後早期から症状の改善をみとめた.膜性中脳水道閉塞症の隔膜の確認にはFIESTA画像が有用であり,神経内視鏡治療で完治が期待できる.