2011 年 51 巻 8 号 p. 599-602
症例は31歳女性である.26歳時に左球後視神経炎で発症し,以後視神経炎2回・脳脊髄病変3回の再発をくりかえし,ステロイド治療がおこなわれていた.2009年10月下旬,全身倦怠感と発熱を訴え,著明な低ナトリウム血症もみとめたため緊急入院した.諸検査より抗利尿ホルモン分泌不適合症候群(SIADH)が示唆され,また発熱・過眠が持続するため頭部MRIを施行したところ両側視床下部にT2強調およびFLAIR画像で高信号域をみとめた.抗アクアポリン4抗体陽性で,視神経炎および3椎体を超える脊髄病変の既往も判明し,視神経脊髄炎(NMO)と診断した.NMOにSIADHと過眠を合併した症例はまれであり,貴重な症例と考えられた.