臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
原著
てんかんのキャリーオーバーについての研究報告―神経内科医師へのアンケート結果―
渡辺 雅子渡辺 裕貴村田 佳子谷口 豪岡崎 光俊
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 52 巻 10 号 p. 730-738

詳細
抄録

日本神経学会会員へてんかんのキャリーオーバーのアンケートをした.回答者の46%がこの用語を知っているが,78%がてんかん診療に困難を感じており,脳波判読の不慣れ,てんかんに特有の法律・医療福祉制度などの不慣れが主な原因であった.小児科からの20歳以上のてんかん患者の引き受け時に困難を感じた神経内科医は,引き受けを経験した医師の68%である.困難の主な理由は,小児期からの経過が把握しにくい,小児期特有のてんかん症候群に不慣れ,の2つである.以上から,キャリーオーバーの存在とその重要性を認識し転科を妨げる因子を解決するために,日本てんかん学会が,日本小児神経学会・日本神経学会などと連携活動をおこなうことが肝要である.

著者関連情報
© 2012 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top