臨床神経学
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症例報告
耳クリック音をみとめたprogressive ataxia and palatal tremor(PAPT)の一例
隅蔵 大幸奥野 龍禎高橋 正紀荒木 克哉北川 一夫望月 秀樹
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2013 年 53 巻 3 号 p. 224-228

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抄録

症例は76歳男性である.71歳より耳の奥でカチカチ鳴る音を自覚した.75歳から進行性の歩行障害が出現した.睡眠時も持続する約2 Hzの律動的な口蓋振戦と体幹失調をみとめ,脳MRIでは下オリーブ核のT2異常高信号と肥大,軽度の小脳萎縮をみとめた.近年,孤発性の変性疾患としてprogressive ataxia and palatal tremor(PAPT)という症候群が報告されている.診断にあたっては,多系統萎縮症,脊髄小脳変性症,成人型アレキサンダー病などの鑑別を要するが,本例では否定的でありPAPTに該当すると考えられた.本例の口蓋振戦は症候性と考えられたが,耳クリック音で発症した点が特異であった.

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© 2013 日本神経学会
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