2013 年 53 巻 3 号 p. 235-238
発症から10年が経過したプリオン蛋白V180I変異Creutzfeldt-Jakob病(CJD)患者の頭部MRI画像所見の変遷を検討した.発症から約1年6ヵ月後までは大脳皮質および基底核を中心にDWI画像,FLAIR画像で高信号域がみとめられたが,3年目では皮質の高信号域が減少し,4年目以降はほとんど消失した.大脳皮質,基底核を主体とした萎縮は発症初期から急速に進行したが,視床,脳幹,小脳では10年を経過しても萎縮はきわめて軽微であった.CJD患者の脳において部位による脆弱性の違いが生じる理由は明らかでなく,プリオン蛋白遺伝子変異の違いが関与する可能性もふくめ,今後症例を重ねて検討していく必要がある.