臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
症例報告
著明な筋痙攣・線維束性収縮をともない抗voltage gated potassium channel(VGKC)複合体抗体が高値であった筋萎縮性側索硬化症の1剖検例
佐藤 晶酒井 直子新保 淳輔橋立 英樹五十嵐 修一柿田 明美山崎 元義
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 54 巻 1 号 p. 32-37

詳細
抄録

症例は初診時55歳男性である.筋痙攣,線維束性収縮が著明で体幹・呼吸筋の筋力低下が進行し筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis; ALS)をうたがったが上位運動ニューロン徴候は軽度であった.抗voltage gated potassium channel(VGKC)複合体抗体高値,神経伝導検査で反復放電をみとめ,cramp-fasciculation症候群などのVGKC関連疾患を想定し免疫グロブリン療法,ステロイドパルス療法(methylprednisolone; mPSL),二重膜濾過血漿交換(double filtration plasmapheresis; DFPP),免疫抑制剤を試みた.mPSLは線維束性収縮に,DFPPは筋痙攣に一時的に有効であったが筋力低下は進行し発症2年後に2型呼吸不全で死亡した.剖検所見から下位運動ニューロン変性が優位のALSと診断した.本例の筋痙攣と線維束性収縮と本抗体の関連を考察した.

著者関連情報
© 2014 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top