硬膜下血腫患者連続1,009症例を対象とし,痙攣を併発した26例(2.6%)のうち血腫が痙攣を誘発した可能性のある20例をケース(痙攣群)として,性,年齢,手術の有無を1:2にマッチさせたコントロール群(非痙攣群)40例と比較した.痙攣群で認知症が多かったが,その他臨床項目で差異はみとめなかった.痙攣群で両側性血腫が多い傾向であり,MRIのFLAIR画像における脳溝の高信号(sulcal hyperintensity)を呈する症例が有意に多く,この所見を呈する症例はCT画像では混合性血腫内容を呈するものが多かった.血腫内容が脳実質へ浸潤して,刺激成分が痙攣を誘発する機序が推測された.