2014 年 54 巻 12 号 p. 1119-1121
活性化グリア細胞が神経炎症をひきおこし,神経細胞傷害に関与する可能性が示され,神経変性疾患の発症機序におけるグリア細胞の役割が注目されている.われわれはミクログリアの神経傷害因子を検討し,グルタミン酸がもっとも強い神経毒であることを報告し,ミクログリアのグルタミン酸放出口であるギャップ結合を阻害することにより,種々の神経変性疾患モデル動物を治療できることを示した.一方,傷害神経細胞は様々なシグナルを出してグリア細胞を活性化し,自身を保護するように働くことも明らかになっている.これら神経細胞-グリア細胞の相互作用は病態の理解とともに,将来の治療戦略に対しても有用な情報を与えると考えられる.