重症筋無力症の最初の症例報告がなされてから約300年後,本疾患が抗AChR抗体によりひきおこされる自己免疫疾患であることが明らかにされた.その後のMGに対する研究成果にはめざましいものがあり,抗MuSK抗体,抗Lrp4抗体が相次いで発見された.治療として胸腺摘除と抗コリンエステラーゼ薬の投与が広くおこなわれてきた.その後,血液浄化療法や経口ステロイドの大量・長期投与がおこなわれるようになり,MGの死亡率は著明に減少した.2000年以降,タクロリムス,シクロスポリン,免疫グロブリン静注療法が保険適応となり,MGの治療の選択肢が増えた.近年,長期にわたるステロイド投与の弊害も指摘されるようになったことから,QOLを重視した治療戦略を立てる必要がある.