臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
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症例報告
ステロイド治療が有効であったサイトメガロウィルス感染後の急性運動・感覚・自律神経ニューロパチーの1例
打田 佑人小池 春樹小栗 卓也加藤 秀紀湯浅 浩之三竹 重久
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2015 年 55 巻 5 号 p. 339-344

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抄録

53歳男性.頭痛と発熱が10日間遷延後,尿閉が出現し,髄液異常をみとめたため,髄膜炎・尿閉症候群と診断.入院後,血清IgM抗サイトメガロウィルス抗体陽性が判明し,ガンシクロビル点滴治療を施行したところ,髄膜炎症状は軽快した.一方で,尿閉は改善せず,高度で多彩な自律神経症状が重畳した.自律神経機能検査では節前線維の障害を示唆する所見を呈し,末梢神経伝導検査ではF波の出現率の低下をみとめた.免疫療法を試みたところ,とくにステロイド治療が奏効した.抗ガングリオシド抗体の中でIgM抗GM1抗体およびIgM抗GM2抗体が陽性であり,Guillain-Barré症候群との異同を考える上で貴重な症例と考えられた.

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© 2015 日本神経学会
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