2016 年 56 巻 11 号 p. 754-758
症例は77歳の男性である.経過約10年のパーキンソン病で,Hoehn-Yahr重症度分類IVの状態であった.意識レベルの低下を主訴に来院し,頭痛と視野障害の病歴,著明な高血圧,頭部MRIにて両側後頭葉に異常高信号がみられ,posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)と診断した.精査にて著しい夜間高血圧と起立性低血圧を認めた.臥位高血圧および血圧変動によりPRESが発症し,悪性症候群を合併してPRESが増悪したと推定した.さらにイストラデフィリンの影響も否定できない.本例は,昇圧剤の内服なくPRESを発症したパーキンソン病の初めての報告である.