2016 年 56 巻 11 号 p. 747-753
最近私どもは記憶追跡課題を用い,多くのParkinson’s disease(PD)患者のcue情報作業記憶は正常であったがそれに基づく運動準備と実行機能不全があることを報告した.しかし少数の作業記憶異常/評価不能例を観察したので,今回,PD 20名をcue情報作業記憶正常群(n = 14)と異常/評価不能群(n = 6)の2群に分け,anti-saccade課題と種々の運動・高次脳機能評価結果を比較した.2群はanti-saccade課題正答率とfrontal assessment battery(FAB)得点で有意に異なった.個々の患者のanti-saccade課題正答率はFAB(下位項目では運動プログラム)得点と有意に相関した.従って一部のPD患者の前頭葉機能不全が示唆された.