2016 年 56 巻 12 号 p. 862-865
症例は79歳女性.高CK血症・四肢近位筋の筋力低下・筋把握痛が出現し,当科に入院した.四肢筋MRIでは両側大腿筋に炎症性変化を認め,同部位の筋生検では筋線維の大小不同と壊死再生線維を認めた.抗体結果と合わせ,抗signal recognition particle(SRP)抗体陽性ミオパチーと診断した.本例では,入院時より心囊液貯留を認め心囊ドレナージを要した.心囊液は滲出性であり心膜炎によるものと考えられた.また病勢の悪化に伴い,心電図前胸部誘導における陰性T波や心室性期外収縮・非持続性心室頻拍が出現した.これらの異常は,病勢の軽快とともに改善したことから,抗SRP抗体陽性ミオパチーに伴う心膜心筋炎と考えられた.