臨床神経学
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短報
繰り返す小脳失調を主徴とした孤発性成人型神経核内封入体病の1例
櫻井 岳郎原田 斉子脇田 賢治吉田 眞理西田 浩
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2016 年 56 巻 6 号 p. 439-443

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抄録

症例は,急に歩行時のふらつきが出現した66歳女性.以前にも同様のふらつきがありすぐに軽快していた.神経所見では小脳失調,四肢腱反射消失,起立性低血圧を認めた.頭部MRIのDWIで大脳皮質直下に線状高信号域を認め,神経核内封入体病(neuronal intranuclear inclusion disease; NIID)が疑われた.皮膚生検を行い,汗腺細胞,線維芽細胞に抗ユビキチン抗体,抗p62抗体陽性の核内封入体を認め,NIIDと診断した.家族歴で類症はなく孤発性と考えられた.成人型NIIDにおいて小脳失調を主徴とすることは少なく,また本例では急性発作を繰り返した経過が特徴的であった.

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© 2016 日本神経学会
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