臨床神経学
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症例報告
片側顔面神経麻痺で発症し抗菌薬を投与したが髄膜炎を再発したライム病の1例
清水 久央原谷 浩司宮崎 将行掛樋 善明長見 周平片浪 雄一川端 寛樹高橋 信行
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2016 年 56 巻 7 号 p. 495-498

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抄録

症例は38歳男性.ダニ刺咬後2ヶ月経過してから片側顔面神経麻痺を呈した.ベル麻痺としてステロイド,アシクロビルを投与し2週間で症状は消失.ライム病の可能性も考慮しドキシサイクリンなどの内服を2週間行った.2ヶ月後に頭痛,発熱などの髄膜炎症状が出現.髄液検査では単核球優位の細胞数上昇を示した.アシクロビルの投与で症状は軽快したが血清ボレリア抗体が陽性でありライム病による髄膜炎と考えた.セフトリアキソンを点滴静注し以後再発はない.抗菌薬を投与したにもかかわらず髄膜炎に進展する症例はまれである.ライム病は本邦では症例が少なく診断が難しい疾患であるが,治療効果の判断にも注意が必要であると思われ報告した.

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© 2016 日本神経学会
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