臨床神経学
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バラシクロビルによる一過性の周期性同期性放電を伴う薬剤性脳症をきたした高齢者例
中谷 光良月野 光博髙橋 良輔池田 昭夫
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2016 年 56 巻 7 号 p. 504-507

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抄録

81歳女性で高血圧,サルコイドーシス,慢性腎不全で透析中の患者.右胸背部に出現した皮疹に対し帯状疱疹と診断され,バラシクロビルの内服が開始された.3日後より見当識障害,歩行障害が出現し救急搬送された.意識障害,および下肢優位の左右対称の安静時ミオクローヌスを認めた.脳波検査で周期性同期性放電(periodic synchronous discharges; PSDs)を認め,経過と所見よりバラシクロビルによる薬剤性脳症と診断した.保存的加療により意識レベルは改善し,脳波所見も軽快した.バラシクロビルはPSDsと薬剤性脳症をきたし,特に高齢者および腎機能障害患者では注意を要する.

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© 2016 日本神経学会
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