2017 年 57 巻 12 号 p. 759-763
症例は90歳女性である.入院中,急激に意識レベルが低下し深昏睡に至った.頭部MRI-拡散強調像(diffusion-weighted image; DWI)で両側視床,内包に高信号を認め,血中アンモニア値の上昇,脳波で前頭葉優位のデルタ波・三相波を認めた.肝性脳症に準じて治療を行い,意識レベルの改善,血中アンモニア値低下,DWI高信号の消失を認めた.腹部CTで肝自体に異常は認めなかったが,回結腸静脈から下大静脈に連続する異常血管を認め,portal-systemic encephalopathyと診断した.深昏睡時,視床・内包にDWI高信号を認めた場合には,急性高アンモニア血症に起因する脳症も鑑別上重要である.