2017 年 57 巻 2 号 p. 71-76
症例は36歳男性である.初発症状は両下肢背面の疼痛で,翌年に潰瘍性大腸炎の診断を受けたが,同時期に下腿の筋萎縮を自覚した.臨床像はgastrocnemius myalgia syndromeに類似していたが,筋力低下や針筋電図異常は両下肢だけでなく左上肢にも及んでいた.MRIで左腓腹筋および左ヒラメ筋が高信号を呈し,筋生検にてCD68陽性細胞の浸潤を伴う非肉芽腫性筋炎像がみられた.ステロイドの投与で,疼痛は改善した.炎症性腸疾患に筋痛を合併した場合は,筋炎の可能性を考慮し,針筋電図,MRI,筋生検による評価を行うことが重要である.