2017 年 57 巻 5 号 p. 225-229
チョウセンアサガオ中毒の夫婦例を報告する.症例1は71歳の女性.意識障害で救急入院した.散瞳,口渇,頻脈,高血圧などの抗コリン徴候を示した.瞳孔は左右不同を示し,脳内局在病変を疑ったが,異常なく原因不明の急性脳症で経過観察.症例2は68歳の夫.翌日に同様の意識障害で救急入院.軽度散瞳を示し,類似の症状のため,病歴再聴取し,チョウセンアサガオの根をゴボウと誤食したことが判明した.本症は散瞳を伴う意識障害が特徴の急性脳症であるが,瞳孔不同あるいは軽度の散瞳の場合,診断に迷う.家族内発症が診断の糸口であった.重症例では全身痙攣,錐体路徴候を呈し,死亡例も報告され,神経救急疾患として重要である.