2017 年 57 巻 6 号 p. 280-286
症例は77歳男性である.寛解と再燃を示す嗄声の後に,左大脳表面に特異な髄膜病変が出現した.髄膜生検で,くも膜から硬膜内面にかけて多数のRussel小体を有する形質細胞を認めた.その後耳介軟骨炎と角膜炎を発症し再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis; RP)と診断した.ステロイド投与により諸症状は軽快した.RP患者の経過中に髄膜病変を生じた症例は稀で病態は不明であるが,本例では軟骨炎が段階的に出現する過程で出現したことから,両者が共通の病態に由来する可能性を示す興味ある所見と考えた.