臨床神経学
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症例報告
脳梗塞発症1年半後に辺縁系脳炎と小脳性運動失調を生じた神経梅毒の1例
池田 宗平藥師寺 祐介江里口 誠藤井 由佳石束 光司原 英夫
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2018 年 58 巻 8 号 p. 499-504

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抄録

症例は51歳男性である.49歳時の脳梗塞発症1年半後に進行性の認知機能低下,易怒性,幻覚を契機に前医精神科病院へ医療保護入院となった.精神症状以外に小脳性運動失調をみとめ,当科へ転院した.頭部MRIで両側側頭極皮質下にT2高信号域をみとめ,髄液での炎症所見より辺縁系脳炎と考えた.その原因としては梅毒反応が血清と髄液で陽性であることを確認しえたことから神経梅毒と判断した.ペニシリンG大量療法を施行し,精神症状と小脳性運動失調,髄液所見,画像所見はいずれも改善した.若年者において,脳梗塞発症,または慢性進行性の精神症状,小脳性運動失調をきたす原因疾患の一つとして神経梅毒を鑑別にあげておく必要がある.

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© 2018 日本神経学会
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