2019 年 59 巻 1 号 p. 1-12
ベーチェット病やスウィート病は皮膚・粘膜病変が主症状であるが,神経病変を伴うこともあり神経ベーチェット病や神経スウィート病と呼ばれる.これらの疾患は口腔粘膜の感染やそれに続くサイトカインの上昇などが誘因となった好中球の過剰な機能亢進によって異所性に脳炎や髄膜炎などが引き起こされる病態と考えられる.神経病変が皮膚・粘膜病変より先に顕在化して診断に苦慮することもあるが,好中球の過剰な機能亢進を示唆する所見があれば神経好中球病と暫定診断し,好中球をターゲットにした初期治療を考慮すべきである.ベーチェット病ではゲノムワイド関連解析により様々な免疫関連因子が関与した多因子疾患であることが解明されている.