臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
症例報告
関節症状を認めない高齢発症のリウマチ性髄膜炎が疑われた1例
吉良 雄一柴田 憲一稲水 佐江子中垣 英明長野 祐久
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 59 巻 8 号 p. 520-524

詳細
抄録

症例は93歳の男性.意識障害で救急受診した.入院後に意識は改善したが,右上肢に振戦様の不随意運動を認めた.頭部magnetic resonance imaging(MRI)で左前頭頭頂葉のくも膜下腔はdiffusion weighted imaging(DWI)とfluid attenuated inversion recovery(FLAIR)で高信号を呈し,ガドリニウム(Gd)造影で軟膜を主体に増強効果がみられた.関節リウマチの既往はなく,関節痛や腫脹もないが,rheumatoid factor(RF),抗cyclic citrullinated peptides(CCP)抗体が高値だった.リウマチ性髄膜炎を疑い,ステロイドで加療したところ,不随意運動は改善し,MRIにおける髄膜病変の信号強度は低下した.関節症状を欠き,超高齢発症であることから,貴重な症例と考えられた.本症はMRI所見が特徴的で,ステロイドが有効であることから,早期の治療が可能と思われた.

著者関連情報
© 2019 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top