2021 年 61 巻 12 号 p. 874-877
症例は72歳男性.2度の左半身に進展する一過性の感覚障害が出現し,外来受診した.神経学的異常所見なく,拡散強調画像(diffusion-weighted imaging,以下DWIと略記)で右頭頂葉に高信号をみとめ,急性期脳梗塞の診断で抗血栓療法が開始された.4か月後に同様の症状で再診し,T2*強調画像で脳表ヘモジデリン沈着症,脳表限局性微小脳出血をみとめ,脳アミロイドアンギオパチーに関連した一過性局所神経症候(transient focal neurological episodes,以下TFNEと略記)と診断し抗血栓療法を中止した.一過性の神経症状を呈する高齢者では,DWI上の高信号をみとめたとしても本例のようにTFNEの場合があり,注意を要する.