2022 年 62 巻 5 号 p. 357-362
症例は64歳女性.四肢のけいれん発作を繰り返した1週間後に搬送された.意識は昏睡状態で,けいれんはなかった.ジアゼパム静注で覚醒状態は改善したが,興奮状態が継続した.頭部MRIで右大脳皮質に拡散強調像で高信号を認め,脳波で右優位に周期性放電を認めた.非けいれん性てんかん重積状態(nonconvulsive status epilepticus,以下NCSEと略記)として治療した.経過中に無動性無言状態とミオクローヌスを認め,脳波で周期性同期性放電に変化したため,Creutzfeldt–Jakob病(Creutzfeldt–Jakob disease,以下CJDと略記)と診断した.CJDは稀ではあるがてんかん発作を起こす.難治性NCSEはCJDの可能性に留意して精査する必要がある.