論文ID: cn-000989
症例は78歳の男性である.右片麻痺で来院し,MRIで橋左傍正中枝脳梗塞と診断,血栓溶解療法を施行した.MRA上intracranial arterial dolichoectasia(IADE)を認めた.その後6ヶ月間に計4回の脳梗塞を繰り返し,計2回の血栓溶解療法を施行した.血栓溶解療法は短期的には奏功したが,抗血栓療法施行後も脳梗塞を繰り返し,機能予後は不良であった.一方,この間に脳底動脈は血管壁に新たな血栓を形成しながら急速に拡張しており,最終的に抗血栓療法は中止した.IADEへの抗血栓療法は画像検査を行いながら慎重に行う必要があると考えられた.