論文ID: cn-001093
症例は80歳の男性.14年前に下肢脱力で筋委縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis; ALS)を発症した.8年前に人工呼吸器管理になり,3年前より眼球運動障害も出現し,閉じ込め状態になった.2年前より顔面紅潮,異常発汗,頻脈,血圧上昇を中心とする発作性交感神経亢進(paroxysmal sympathetic hyperactivity; PSH)が頻回に起きるようになり,カテコラミンの異常高値を認めた.治療にジアゼパムを使用し,発作の消失とカテコラミンの低下を認めた.PSHとカテコラミンの関連性,ジアゼパムの治療の有効性が示唆され,ALSのPSHの機序と治療を考察した.