臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X

この記事には本公開記事があります。本公開記事を参照してください。
引用する場合も本公開記事を引用してください。

下垂体卒中による副腎不全で血行力学的に一過性脳虚血発作を発症した1例
橋本 剛和田 晋一吉野 文隆桑城 貴弘矢坂 正弘岡田 靖
著者情報
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: cn-001372

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

症例は若年時に外傷で失明した87歳男性.繰り返す一過性の意識障害の精査目的に入院となった.頭部CTではトルコ鞍に血腫成分を伴う径4.5 cm大の下垂体腫瘍を認め,造影CTでは右内頸動脈がC2で閉塞していた.入院時より発熱,血圧低下を認め,排尿後のさらなる血圧低下とともに一過性の軽度の意識障害と左上肢の麻痺を認めた.下垂体卒中により副腎不全を発症し血行力学的機序で一過性脳虚血発作を発症したと考え,コルチゾールを補充したところ解熱,血圧上昇を認め一過性意識障害発作は消失した.本症例は下垂体腫瘍の圧迫による内頸動脈閉塞症例で,副腎不全による血行力学的機序で一過性脳虚血発作を発症した稀有な症例であった.

著者関連情報
© 2020 日本神経学会
feedback
Top