論文ID: cn-001372
症例は若年時に外傷で失明した87歳男性.繰り返す一過性の意識障害の精査目的に入院となった.頭部CTではトルコ鞍に血腫成分を伴う径4.5 cm大の下垂体腫瘍を認め,造影CTでは右内頸動脈がC2で閉塞していた.入院時より発熱,血圧低下を認め,排尿後のさらなる血圧低下とともに一過性の軽度の意識障害と左上肢の麻痺を認めた.下垂体卒中により副腎不全を発症し血行力学的機序で一過性脳虚血発作を発症したと考え,コルチゾールを補充したところ解熱,血圧上昇を認め一過性意識障害発作は消失した.本症例は下垂体腫瘍の圧迫による内頸動脈閉塞症例で,副腎不全による血行力学的機序で一過性脳虚血発作を発症した稀有な症例であった.